泣きたい・泣きたくない
いつもだいたい泣きそうな気持ちである。理由はよく分からない。
でも、実際に涙が出ることはあまりない。
泣きそうで泣けないというのは意外と苦しいものだ。
泣けないまま動悸が酷くなって、震えが止まらなくなったことがある。
そのまま一晩中震えていた。
何だか、体の中に溜まった恐れや悲しみが、出口を見つけられず暴れているようだと思った。
今の病院に通い始めた直接のきっかけは、実はこれとは真逆の症状だった。
「泣きそう」が一転し、ダムが決壊でもしたかのように泣き始めたのだ。
あの頃、私はいつも泣いていた。特に、人と会話すると必ず泣いた。
外出時には箱ティッシュとビニール袋(ゴミ用)を持ち歩いた。
とてもじゃないが、仕事どころではなかった。
あれからもう1年以上経つ。
いつの間にか、人と会っても泣かなくなった。
泣きそうな気持ちはずっと続いていたが、時折軽い動悸を感じる程度で、震えるほど酷くなるようなことはほとんど無くなった。
泣きそうな気持ちがなくなる瞬間も、だんだんと増えてきたように感じられていた。
のだが…。
ここ3、4日、私は1日に一回以上涙を流している。
一度に流す涙の量はあまり多くない。泣いている時間も短い。
しかし、日を追う毎に回数が増えている。
まるでヒビでも入って、少しずつ中身が漏れ出しているような。
泣いたあとは少し落ち着く。そしてまだまだ泣き足りないと感じる。
胸の辺りに重苦しく蠢いている何か
頭のなかでモヤモヤと停滞している何か
そういった苦痛の元を、涙と共に排出してしまいたいのだ。
でも、だけど、もし。
泣き始めて、止まらなくなったら?
またいつでもどこでも泣くようになってしまったら?
そしたらまた誰にも会えない。仕事にも行けない。買い物にだって行けるかどうか。
泣きたいけれど、泣くのが怖い。
明日は、明後日は、その次は…いったい自分はどうなるのだろう。
泣けるかもしれないという期待と、泣き続けるかもしれないという不安が、私の中で渦を巻いている。